少女T 3-1
2011年10月4日 3
彼はゲートを出て、外に出た。そこには、地上50階近くありそうな、巨大な構想ビルがいくつも建てられており、予想以上にに広い街だった。ここがヒウンシティだ。
(こんな広い都市でトウコが見つかるかな…)
彼は少し不安になった。彼女と会えるのが、まだ先の話になってしまうのだろうか。彼は、そんな心配をしながらも、その場を歩き出した。
サラリーマンや子供、老人など、いろんな人がいた。少しでも気を抜くと、ぶつかってしまいそうだった。彼は、ヒウンシティに入ったとき、最初に目に入った建物を少し見てみることにした。彼は建物の目の前まで来た。看板には、「歴史の宿 ヒストリー・タウン」と書かれている。
彼は中に入った。そこは、美術館のような場所だった。絵画や彫刻がたくさんあり、人々が見学していた。
「ようこそいらっしゃいました。 歴史の宿、ヒストリー・タウンにようこそ」
入口の脇にいた女性に話しかけられた。案内人のようである。
「こちらの建物では、イッシュ地方や、他の地方の歴史、伝説など、いろいろなことを絵画や彫刻、遺品などから学ぶことが出来ます。こちらへどうぞ」
彼女は彼を案内した。彼女が向かった先に、不思議なポケモンの絵があった。
「こちらは、真実を求める白楊の竜、理想を求める黒陰の竜と、その分裂前の姿が描かれています」
彼はその言葉に身に覚えがあった。そう、トウコが持っている、あの2体のドラゴンポケモンである。しかし、違和感を覚えた言葉もあった。
「分裂…?」
「真実を求める勇者、理想を求める勇者が対立を始めたことにより、ポケモンも2つに分かれたと言われております」
彼はその事実を初めて知り、不思議な気持ちになった。トウコの持っているあのポケモンが…。
「他にも、何かご覧になられますか?」
「いえ、結構です」
「そうですか。かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
そう言って彼女は入口の脇へ戻り、入ってきた別の客を案内した。そして、トウヤはあちこちの絵画や彫刻を見回った。中には、トウコの持っているゼクロムやレシラム、見たこともないポケモンがたくさん描かれていた。
その時、彼がふと後ろを振り向いた瞬間、あるものを見た。身に覚えるある人物が、先程見ていた絵画をじっと見つめていた。
トウコだった。彼女はドラゴンポケモンの分裂の絵画をじっと見つめていた。
「トウコ!」
彼は彼女を見かけたとたん、その場で名前を呼んだ。
「あ、トウヤくん、来てたんだ」
彼女は彼の方を振り向いた。
「こんなところで何してたの?」
「ここの絵画や書物を見てた。いろいろ勉強になるかな~と思ってさ」
「そうなんだ」
「休憩所あるから、そこで座って二人で話さない?」
彼は〝二人で”という言葉を聞いて少しドキッとした。彼女と今から二人きりの時間になるのだ。
「う…うん」
それから、二人は階段を上って二階の休憩所に向かった。そして、テーブルを挟んで二人で向き合って椅子に腰掛けた。
「トウヤくん、ここの絵画とか遺物とかに興味があるの?」
「あ…うん。あとさ、オレのことは呼び捨てでいいよ。なんか、堅苦しいし」
「そっか。わかった」
彼は、最初に会ったときはちょっと肩の力が抜けなかったが、今は、最初と比べて、少しは話しやすくなった。
「あたし、ちょっとジュース買ってくる」
そういって、トウコは立ち上がり、自動販売機に向かった。その間、トウヤは彼女と出会ってからの事を少し振り返ってみた。まず、伝説のポケモンを使い2度も人々を救った。そして、シッポウシティで母親と思わしき女性に出会った。そして、ここの絵画をじっと見つめていた…。彼女のことがますますわからなくなっていくようだった。
「おまたせ」
彼がそう考えているうちに、彼女が戻ってきた。
「はい、これ」
彼女は彼にジュースを渡した。
「もう一本当たったんだ。だからトウヤにあげる」
「ありがとう」
彼はなんだか嬉しかった。彼女が優しい少女だと信じていたが、間違いではなかったのだ。
「ところでさ、トウコが持ってるあのポケモン…どうしたの?」
彼女はそれまで少し笑顔を浮かべていたが、その笑顔が、彼の一言で崩れ去った。
「それは言えない」
「そうか…余計なこと聞いてごめん」
「別にいいよ。今は言えないけど、そのうち打ち明けてあげられるかもしれない」
「そうか…それは、オレがそういう人間になったら…ていうことだよね?」
「うん。そうだね」
彼女は笑顔を取り戻した。
彼はゲートを出て、外に出た。そこには、地上50階近くありそうな、巨大な構想ビルがいくつも建てられており、予想以上にに広い街だった。ここがヒウンシティだ。
(こんな広い都市でトウコが見つかるかな…)
彼は少し不安になった。彼女と会えるのが、まだ先の話になってしまうのだろうか。彼は、そんな心配をしながらも、その場を歩き出した。
サラリーマンや子供、老人など、いろんな人がいた。少しでも気を抜くと、ぶつかってしまいそうだった。彼は、ヒウンシティに入ったとき、最初に目に入った建物を少し見てみることにした。彼は建物の目の前まで来た。看板には、「歴史の宿 ヒストリー・タウン」と書かれている。
彼は中に入った。そこは、美術館のような場所だった。絵画や彫刻がたくさんあり、人々が見学していた。
「ようこそいらっしゃいました。 歴史の宿、ヒストリー・タウンにようこそ」
入口の脇にいた女性に話しかけられた。案内人のようである。
「こちらの建物では、イッシュ地方や、他の地方の歴史、伝説など、いろいろなことを絵画や彫刻、遺品などから学ぶことが出来ます。こちらへどうぞ」
彼女は彼を案内した。彼女が向かった先に、不思議なポケモンの絵があった。
「こちらは、真実を求める白楊の竜、理想を求める黒陰の竜と、その分裂前の姿が描かれています」
彼はその言葉に身に覚えがあった。そう、トウコが持っている、あの2体のドラゴンポケモンである。しかし、違和感を覚えた言葉もあった。
「分裂…?」
「真実を求める勇者、理想を求める勇者が対立を始めたことにより、ポケモンも2つに分かれたと言われております」
彼はその事実を初めて知り、不思議な気持ちになった。トウコの持っているあのポケモンが…。
「他にも、何かご覧になられますか?」
「いえ、結構です」
「そうですか。かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
そう言って彼女は入口の脇へ戻り、入ってきた別の客を案内した。そして、トウヤはあちこちの絵画や彫刻を見回った。中には、トウコの持っているゼクロムやレシラム、見たこともないポケモンがたくさん描かれていた。
その時、彼がふと後ろを振り向いた瞬間、あるものを見た。身に覚えるある人物が、先程見ていた絵画をじっと見つめていた。
トウコだった。彼女はドラゴンポケモンの分裂の絵画をじっと見つめていた。
「トウコ!」
彼は彼女を見かけたとたん、その場で名前を呼んだ。
「あ、トウヤくん、来てたんだ」
彼女は彼の方を振り向いた。
「こんなところで何してたの?」
「ここの絵画や書物を見てた。いろいろ勉強になるかな~と思ってさ」
「そうなんだ」
「休憩所あるから、そこで座って二人で話さない?」
彼は〝二人で”という言葉を聞いて少しドキッとした。彼女と今から二人きりの時間になるのだ。
「う…うん」
それから、二人は階段を上って二階の休憩所に向かった。そして、テーブルを挟んで二人で向き合って椅子に腰掛けた。
「トウヤくん、ここの絵画とか遺物とかに興味があるの?」
「あ…うん。あとさ、オレのことは呼び捨てでいいよ。なんか、堅苦しいし」
「そっか。わかった」
彼は、最初に会ったときはちょっと肩の力が抜けなかったが、今は、最初と比べて、少しは話しやすくなった。
「あたし、ちょっとジュース買ってくる」
そういって、トウコは立ち上がり、自動販売機に向かった。その間、トウヤは彼女と出会ってからの事を少し振り返ってみた。まず、伝説のポケモンを使い2度も人々を救った。そして、シッポウシティで母親と思わしき女性に出会った。そして、ここの絵画をじっと見つめていた…。彼女のことがますますわからなくなっていくようだった。
「おまたせ」
彼がそう考えているうちに、彼女が戻ってきた。
「はい、これ」
彼女は彼にジュースを渡した。
「もう一本当たったんだ。だからトウヤにあげる」
「ありがとう」
彼はなんだか嬉しかった。彼女が優しい少女だと信じていたが、間違いではなかったのだ。
「ところでさ、トウコが持ってるあのポケモン…どうしたの?」
彼女はそれまで少し笑顔を浮かべていたが、その笑顔が、彼の一言で崩れ去った。
「それは言えない」
「そうか…余計なこと聞いてごめん」
「別にいいよ。今は言えないけど、そのうち打ち明けてあげられるかもしれない」
「そうか…それは、オレがそういう人間になったら…ていうことだよね?」
「うん。そうだね」
彼女は笑顔を取り戻した。
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