少女T 4-4
2011年10月4日「ここは、昔から謎の多い場所だよ。ああいうのが
あっても、仕方ないよ」
トウコは恐れを見せる様子などなかった。慣れているからだろう、とトウヤは思った。
「謎の炎の正体は、誰にもわからないのか?」
「うん。あたしは知ってるけどね」
「知ってるのか?」
「だから来たんだよ。頂上に行ったらわかるよ」
「お前…なんでも知ってるんだな」
「あたしにだって、わからないことくらいあるよ。そのために、あたしはゼクロムやレシラムと旅してるの」
「ゼクロムやレシラムは…お前の事、信頼してくれてるのか?」
「そんなの知らない。本人に訊いてみれば」
彼女は自分のポケモンについてはあまり興味を持っていないようであった。トウヤは、自分のポケモンが自分を信頼してくれているのか、常に気にしていたが、彼女のそんな顔を見た時、驚きを隠せなかった。
「お前、ポケモンを大事に思ってる?」
「思ってるよ。あたしなりにね」
「ポケモンも、お前を大事にしてくれてるといいね」
「うん。してくれればね」
会話が進むに連れて、彼女の表情はどんどん陰気になっていった。彼の話が気に入らなかったのか、それとも面倒だったのか、それはわからなかった。
そんな会話をしているうちに、3階まで来ていた。そこには、絵画などがたくさん貼られていた。
「ここには、絵がたくさんあるな」
トウヤは目に入った光景をそのまま口にした。
「そうね。あたしもこれは見たことないな」
トウヤはその時、気掛かりな絵を見つけた。それは、1羽の蝶のような絵だった。
「トウコ、このポケモン知ってる?」
彼はその絵を指差して言った。トウコは彼の元に歩き、その絵を手にした。
「これは…例の謎の炎のポケモンよ」
「これが?なんていうポケモン?」
「ウルガモス」
トウヤはその名前に聞き覚えがあった。何年か前に読んだ歴史書に出てきた名前である。
「それってもしかして…太陽の代わりになって人々を救ったポケモンとか?」
「そう。この塔を何百年も前から守ってるの。選ばれし者以外はこの塔に入った瞬間彼に焼き尽くされる」
彼は意外な事実を聞いて驚きを隠せなかった。人々を皆殺しにしたポケモンが、いったいどんな恐ろしい姿をしているのかと思いきや、1羽の蝶ポケモンで、しかも名前を聞いたことがあるポケモンだった。
「そのポケモンに会って…何をするの?」
「力を貸してもらう」
「力を…?」
「うん。早く彼の元に行きたいの。だから急ごう」
「ああ」
彼女には若干焦りが見えた。もしかしたら、この世界のどこかで何か大変なことが怒っているのかもしれないと、トウヤは思った。
「ウルガモスって、ずっとこの塔に住んでるのか?」
「うん。彼はね」
「もしウルガモスがいなくなったら…この塔は人間に侵入されちゃうのか?」
「ううん。子供が彼を継いでくれる」
「子供?子供がいるのか?」
「うん。ウルガモスはね、別に伝説のポケモンじゃないし、珍しい存在でもないわ。ただ数が多くないってだけ。使うトレーナーもいるよ」
「そうなのか?」
「うん。だから、子供だって作れる。幼虫は、メラルバっていうポケモンよ」
「メラルバ!?」
彼はその名前に聞き覚えがあった。
「知ってるの?」
「ああ。俺の友達が連れてるんだ」
「そうなんだ」
トウコは彼の話を聞きながらも、足を減速させることはなかった。よほど急いでいたのだろう。息も切れ気味である。
「お前、喋りながら走ってて、大丈夫なのか?」
「うん。これくらい平気だよっ」
「ならよかった」
そう言いながらも、彼女は必死だった。もう20階近くまで来ているだろう。彼女は追いあげるように、さらに加速した。
「もうすぐだよ。もうすぐ彼の元に付く」
「そうか」
「遅れないでねっ」
「わかってるよ!」
そんな会話をしているうちに、階段の上で光が零れているのが見えた。2人はその光めがけて全速力で走った。トウヤは何のために頂上に行こうとしているのかわかっていなかったが、彼女に引かれるように自然と足を速めていたのである。そして、今、頂上に辿り着いた。
あっても、仕方ないよ」
トウコは恐れを見せる様子などなかった。慣れているからだろう、とトウヤは思った。
「謎の炎の正体は、誰にもわからないのか?」
「うん。あたしは知ってるけどね」
「知ってるのか?」
「だから来たんだよ。頂上に行ったらわかるよ」
「お前…なんでも知ってるんだな」
「あたしにだって、わからないことくらいあるよ。そのために、あたしはゼクロムやレシラムと旅してるの」
「ゼクロムやレシラムは…お前の事、信頼してくれてるのか?」
「そんなの知らない。本人に訊いてみれば」
彼女は自分のポケモンについてはあまり興味を持っていないようであった。トウヤは、自分のポケモンが自分を信頼してくれているのか、常に気にしていたが、彼女のそんな顔を見た時、驚きを隠せなかった。
「お前、ポケモンを大事に思ってる?」
「思ってるよ。あたしなりにね」
「ポケモンも、お前を大事にしてくれてるといいね」
「うん。してくれればね」
会話が進むに連れて、彼女の表情はどんどん陰気になっていった。彼の話が気に入らなかったのか、それとも面倒だったのか、それはわからなかった。
そんな会話をしているうちに、3階まで来ていた。そこには、絵画などがたくさん貼られていた。
「ここには、絵がたくさんあるな」
トウヤは目に入った光景をそのまま口にした。
「そうね。あたしもこれは見たことないな」
トウヤはその時、気掛かりな絵を見つけた。それは、1羽の蝶のような絵だった。
「トウコ、このポケモン知ってる?」
彼はその絵を指差して言った。トウコは彼の元に歩き、その絵を手にした。
「これは…例の謎の炎のポケモンよ」
「これが?なんていうポケモン?」
「ウルガモス」
トウヤはその名前に聞き覚えがあった。何年か前に読んだ歴史書に出てきた名前である。
「それってもしかして…太陽の代わりになって人々を救ったポケモンとか?」
「そう。この塔を何百年も前から守ってるの。選ばれし者以外はこの塔に入った瞬間彼に焼き尽くされる」
彼は意外な事実を聞いて驚きを隠せなかった。人々を皆殺しにしたポケモンが、いったいどんな恐ろしい姿をしているのかと思いきや、1羽の蝶ポケモンで、しかも名前を聞いたことがあるポケモンだった。
「そのポケモンに会って…何をするの?」
「力を貸してもらう」
「力を…?」
「うん。早く彼の元に行きたいの。だから急ごう」
「ああ」
彼女には若干焦りが見えた。もしかしたら、この世界のどこかで何か大変なことが怒っているのかもしれないと、トウヤは思った。
「ウルガモスって、ずっとこの塔に住んでるのか?」
「うん。彼はね」
「もしウルガモスがいなくなったら…この塔は人間に侵入されちゃうのか?」
「ううん。子供が彼を継いでくれる」
「子供?子供がいるのか?」
「うん。ウルガモスはね、別に伝説のポケモンじゃないし、珍しい存在でもないわ。ただ数が多くないってだけ。使うトレーナーもいるよ」
「そうなのか?」
「うん。だから、子供だって作れる。幼虫は、メラルバっていうポケモンよ」
「メラルバ!?」
彼はその名前に聞き覚えがあった。
「知ってるの?」
「ああ。俺の友達が連れてるんだ」
「そうなんだ」
トウコは彼の話を聞きながらも、足を減速させることはなかった。よほど急いでいたのだろう。息も切れ気味である。
「お前、喋りながら走ってて、大丈夫なのか?」
「うん。これくらい平気だよっ」
「ならよかった」
そう言いながらも、彼女は必死だった。もう20階近くまで来ているだろう。彼女は追いあげるように、さらに加速した。
「もうすぐだよ。もうすぐ彼の元に付く」
「そうか」
「遅れないでねっ」
「わかってるよ!」
そんな会話をしているうちに、階段の上で光が零れているのが見えた。2人はその光めがけて全速力で走った。トウヤは何のために頂上に行こうとしているのかわかっていなかったが、彼女に引かれるように自然と足を速めていたのである。そして、今、頂上に辿り着いた。
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